電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
もの凄くひさしぶりにまともに最初から最後までプレイしたPC18禁読み物系ゲーム。DMMでセールだった&原画家(「克」氏)目当てで手を出したのだけれども。
評点は以下のとおり。いずれも7点が及第点。
ストーリー:9/10
エロ:10/10
サウンド:10/10
総評:9/10
総評は7点以上なら幅広くオススメできる。5点を下回ると駄作。5~6点なら題材やジャンル、原画家などで個人的な加点があればやってみてもいいのでは?という感じか。
9点は、違う表現をすれば「上の中」というところ。十分にオススメできます。
ネタバレしない範囲でもう少し掘り下げて説明すると…
【ストーリー】
メインライターは「御影」氏で、実績からいって実力は折り紙付き。自分はどれもプレイしたことがなかったが、高く評価されているゲームとして名前は知ってたっていうタイトルが数多くある。
プロローグ的な「始まりの3日間」だけで話に引き込まれた。序盤に盛り上がりを作る、というのはストーリーテリングにおいて重要なテクニックで、月姫ではそのためにネロ・カオスを登場させることにした、というのは何かで読んだことがある。キャラクターに与えられている記号的魅力は媚びが鼻につかない程度に抑えられており、ほどなく「ストーリー内での生きたキャラクター性」の中に溶け込んでいく。日常パートやギャグパートは軽やかでテンポよく、読み進むことが苦にならない。聖書や文学作品からの引用が多く、知的好奇心がくすぐられる。話全体の構造が、ゲームという媒体を活かしたメタな作りになっているのも興味深い。主人公がいざというときにヘタレじゃないのもいいね。
褒めてばっかりだが、じゃあなんで10点じゃないの?というとサブライターの担当パートの完成度が劣っているから。あと、動機付けや説明をもう少し強化したほうがいいんじゃないかと思える箇所がいくつかあったので、満点まではつけられないかな。
しかし、及第点以上の水準なのは間違いない。背筋にゾクっとくるような「感情が揺さぶられる感覚」を体感させる作品というのは多くあるものではなく、自分にとって本作はそういう数少ない作品の1つ。
【エロ】
高品質なシナリオと高水準なエロを同居させるのはかなり難しいのだが、このゲームでは高い次元での同居が果たされている。ここはもう手放しで褒められるところ。シナリオに後付けでエロシーンを入れるような形では決して実現できないことで、「過激なHさせて淫語連発させとけばええやろ」なわけないのだ。それでは、エロシーンでだけ突然淫乱化したりベッドヤクザになったりしてキャラクター性が歪んでしまう。最初からシナリオの設定面とキャラクターをエロティシズムを引き出せるように構築していく必要がある。
サブライターの担当パートのCGは原画家が克氏ではなく、明らかにクオリティで劣っているのだが、それらを除外しても十分な量で、質は前述のとおりなので10点あげられる。
【サウンド】
盛り上げるべきところで盛り上がるBGMが流れる。それは一定以上の水準のゲームなら当然なのだが、本作では日常系のBGMも素晴らしく良質。ボーカル有りのオープニングテーマとエンディングテーマもゲーム内容に合っていて文句なし。声の演技やチュパ音などにも隙はない。…ボイスの伏字加工もない。満点にする以外ないだろう。
…という感じ。ひとつ前の作品『アマツツミ』もそのうち是非プレイしたい。
【おまけ:最初の選択ルート】
小夜。どうも自分はあからさまに好意を向けてくるキャラを優先する傾向があるらしい。選ばれなかった場合に一番悲しむキャラ、ということかもしれない。
評点は以下のとおり。いずれも7点が及第点。
ストーリー:9/10
エロ:10/10
サウンド:10/10
総評:9/10
総評は7点以上なら幅広くオススメできる。5点を下回ると駄作。5~6点なら題材やジャンル、原画家などで個人的な加点があればやってみてもいいのでは?という感じか。
9点は、違う表現をすれば「上の中」というところ。十分にオススメできます。
ネタバレしない範囲でもう少し掘り下げて説明すると…
【ストーリー】
メインライターは「御影」氏で、実績からいって実力は折り紙付き。自分はどれもプレイしたことがなかったが、高く評価されているゲームとして名前は知ってたっていうタイトルが数多くある。
プロローグ的な「始まりの3日間」だけで話に引き込まれた。序盤に盛り上がりを作る、というのはストーリーテリングにおいて重要なテクニックで、月姫ではそのためにネロ・カオスを登場させることにした、というのは何かで読んだことがある。キャラクターに与えられている記号的魅力は媚びが鼻につかない程度に抑えられており、ほどなく「ストーリー内での生きたキャラクター性」の中に溶け込んでいく。日常パートやギャグパートは軽やかでテンポよく、読み進むことが苦にならない。聖書や文学作品からの引用が多く、知的好奇心がくすぐられる。話全体の構造が、ゲームという媒体を活かしたメタな作りになっているのも興味深い。主人公がいざというときにヘタレじゃないのもいいね。
褒めてばっかりだが、じゃあなんで10点じゃないの?というとサブライターの担当パートの完成度が劣っているから。あと、動機付けや説明をもう少し強化したほうがいいんじゃないかと思える箇所がいくつかあったので、満点まではつけられないかな。
しかし、及第点以上の水準なのは間違いない。背筋にゾクっとくるような「感情が揺さぶられる感覚」を体感させる作品というのは多くあるものではなく、自分にとって本作はそういう数少ない作品の1つ。
【エロ】
高品質なシナリオと高水準なエロを同居させるのはかなり難しいのだが、このゲームでは高い次元での同居が果たされている。ここはもう手放しで褒められるところ。シナリオに後付けでエロシーンを入れるような形では決して実現できないことで、「過激なHさせて淫語連発させとけばええやろ」なわけないのだ。それでは、エロシーンでだけ突然淫乱化したりベッドヤクザになったりしてキャラクター性が歪んでしまう。最初からシナリオの設定面とキャラクターをエロティシズムを引き出せるように構築していく必要がある。
サブライターの担当パートのCGは原画家が克氏ではなく、明らかにクオリティで劣っているのだが、それらを除外しても十分な量で、質は前述のとおりなので10点あげられる。
【サウンド】
盛り上げるべきところで盛り上がるBGMが流れる。それは一定以上の水準のゲームなら当然なのだが、本作では日常系のBGMも素晴らしく良質。ボーカル有りのオープニングテーマとエンディングテーマもゲーム内容に合っていて文句なし。声の演技やチュパ音などにも隙はない。…ボイスの伏字加工もない。満点にする以外ないだろう。
…という感じ。ひとつ前の作品『アマツツミ』もそのうち是非プレイしたい。
【おまけ:最初の選択ルート】
小夜。どうも自分はあからさまに好意を向けてくるキャラを優先する傾向があるらしい。選ばれなかった場合に一番悲しむキャラ、ということかもしれない。
以下、若干のネタバレありでもう少し詳しく。
【ストーリー】
・開幕5分以内にエロシーンというのは、エロ重視のゲームでは「つかみ」として定石化しており、少しプレイしただけの段階では誤解を受けそうだが、本作はストーリー面でも十分な厚みのあるゲーム。この開幕5分のエロシーンも単なるサービスシーンではなく、読み手に主人公像を捉えてもらうためと、他の登場人物の動機形成や行動起点としての意味合いがしっかり持たされていることがあとあとわかってくる。エロへのこだわりの詳細は後述するが、ストーリーとエロの両面でストロングスタイルを志向する姿勢は素晴らしい。素直に称賛したい。各人のストーリーの評価は最後までプレイした後でないとできないことだが、その後であれば「これだけの力量を持つクリエーターが、エロにも本気で取り組んだ」と感じられ、ひときわ味わい深い。
・超能力的な力や、そのものズバリ悪魔が出てきてしまうような内容なのだが、ご都合主義的展開を生み出すためによく使われるこれらの要素を、「何の説明もなくご都合主義的展開があるよりも、ストーリー的な奥深さを生み出す」とマクベスを引用して説明しているのはなるほどと思わされた。実際のところ、本作におけるこれらの要素はご都合主義的展開を生み出すための道具などではなく、ストーリーの根幹をなす重要なパーツなので、ストーリーの全容が明らかになった後では改めて唸らされる。
【エロ】
・CG的な特徴は、明暗差が大きくリアル寄りの塗りであること。陰を強調したCGは、「光と闇」「昼と夜」「日常と非日常」「神と悪魔」のような対比的内容を扱う本作とよくマッチしており、いわゆる萌えよりも淫靡さを強く感じさせるものになっている。
・エロのボルテージを上げようとすると年若い主人公がやけにセックス巧者で性豪になり、女の子はやけに淫乱になる、というような問題は、主人公の設定により「そういうものか」と納得可能になっている。この設定がご都合主義のための単なる道具ではないというのはストーリーのところで説明したとおりで、それを理解できる段階までプレイを進めれば納得の度合いはさらに深まる。
・「体を重ねるような関係になって初めて明らかになる、女性の身体的コンプレックス」はキャラクターの生々しさや人間らしさを強め、エロティシズムを感じさせる要素であるのは間違いない。ギャップ萌えとかの受け手側だけで完結する部分もあるが、身体的コンプレックスはそのキャラの羞恥を強め、異性に受け入れられたときの感情の上振れも激しくなるので、シーンのテンションを引き上げるうえでも効果が高いといえる。
・「現実ではありえない水準の快感だが、想像可能」というものにも触れておきたい。たとえば、現実に存在しない幻想的存在との性交には現実ではありえない水準の快感がともなうものと設定しても話としては問題ない。サキュバス相手とか。だが、そう設定して書いたとしても、そのような水準の快感というものを読み手が想像できなければ意味は薄い。想像可能にするための工夫が重要なのである。
主人公の力は相手の快感を強める働きがあるが、同じ力を持つ少女との性交ではお互いに力を及ぼしあう描写がある。読み手はそれまでに何度か主人公との性交で乱れる少女を見ているので、それをもたらす力が主人公にも及ぶとどうなるか、をある程度想像できるようになっている。男性主人公のエロシーンでの読み手の感情移入は(エロシーンの内容にもよるものの)男25%女75%ぐらいなので、女性側への感情移入分をある程度男性側に上乗せして男50%:女75%計125%ぐらいのハイボルテージなシーンになるという次第。
なお、その方面で今までで一番優れたアイデアだと感じたのは、「接触テレパス同士が、お互いに身体感覚を伝えながら行う性交」というもの。そりゃあ凄いでしょうね。感覚のハウリングが起こりそう。
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