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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
スポイラーをざっと見渡しての感想。
・カードショップ泣かせ
アラーラのときも、ごく一部の神話レア(=プレインズウォーカー)以外はシングルで値がつかなそうな印象だったが、今回はさらにシングルの目玉が少ない。
明らかに強いのが苦悩火、使ってみようかと思える神話レアはエーテル宣誓会の審判人と大渦の大天使と8マナの彼、それ以外のレアでは遁走の王笏、アラーラのオベリスクぐらいか。後ろの二枚は値段がつくかどうかはかなり怪しい。
・アンチ苦花
天界の粛清、火山の流弾、散弾の射手、金線の破れ目。
特に火山の流弾は苦花というよりフェアリーデッキに致命傷を与える。後ろの二枚はサイド要員の域を出ない。天界の粛清については後述。
・白強化政策がますます加速
今までも忘却の輪や損ないで白の単体除去が強化されてきていたが、いずれも3マナ以上という重さがネックだった。今回の2枚、流刑への道と天界の粛清はともに軽く、効果も十分に構築レベルだといえる。特に後者は色対策カードでありながら、混成マナで特徴付けられたシャドウムーア・イーブンタイド、3色や5色のマルチで特徴付けられたアラーラ・コンフラックスを含む環境においては対象に困ることが少なく、種類を問わずパーマネントを対象にできるという点で高い汎用性を持つ。なにしろ、復讐のアジャニやサルカン等のプレインズウォーカーすら除去できるのだ。火山の流弾をも超え、間違いなくコンフラックスのトップアンコモンだろう。
・アラーラブロックにはサブテーマ「ウーズ」が存在する
コンフラックス時点でウーズ(多相は除く)は13体。そのうち3体がアラーラとコンフラックス。
さらに、それらのクリーチャー以外でウーズに言及した唯一のカード「軟泥の庭」がアラーラに存在する。どう考えても単なる偶然ではない。
・R&Dにおける記憶問題の軽視化
かつてルールが整備される前は、ゲームとして処理が可能でさえあれば何でもありで、数ターン後に効果を発揮するソーサリーやインスタント、能力などが存在していた。いわゆるスロートリップ、「次のターンのアップキープの開始時にカードを一枚引く」もその1つと言える。それらには、あとでその効果を処理することを忘れないようにするためのルール上の補助的な措置が何もなく、プレイヤー達が憶えておくしかなかった(ルールは何らかのマーカーを置くことを禁止はしないが、そんなことは大部分の一般ユーザーにとっては思いつき得る内容ではない)。これらの、うっかり忘れが生じやすいケースが「記憶問題」と呼ばれた。
その後、ルールが整備されていくと同時に、一般ユーザーが誤解なくプレイできるようにテンプレートが整理され、また記憶問題が生じないように、数ターン後に効果を発揮するようなケースではカウンターを使って処理したり(例:待機)、そもそもそのような問題が起こらない内容に変更されていった(例:スロートリップ→ファストトリップ)。大体において、プレイヤーが「これらのカードについて処理しなければならない」と認識している領域に、テキストを読むことが可能な状態でカードが存在していれば記憶問題は生じることがないので、数ターン後に効果を発揮させるカードを作る場合はその条件を満たすようにデザインされてきた。
しかし、またそれらのタガが緩みつつあるのを感じる。たとえば、恒久的にコントロールを奪うのは、プレイマットのどちら側に置くかで示せるが、「この方法で場に出たクリーチャーは~の能力を持つ」なんていうのは何らかのマーカーを使わない限り、ただ憶えておくしかない。時のらせんでは過去のカードのリメイクということでガラスのアスプが登場したが、このクリーチャーの遅延誘発型能力はそれまでにこのクリーチャーが場を離れていても起こるので、ライブラリに戻されたりすると効果を確認するためにテキストを読み返すことが非常に困難になったりする。
アラーラのプレインズウォーカー、遍歴のエルズペスの忠誠度大マイナス能力は「残りのゲームの間、あなたがコントロールするアーティファクトとクリーチャーとエンチャントと土地は破壊されない。」というもので、これまた憶えておくしかないタイプの効果である。
そして、今回の「消しえる火」だ。
「プレイヤー1人を対象とする。消しえる火はそのプレイヤーに3点のダメージを与える。あなたの次のアップキープの開始時に、そのプレイヤーがそのステップより前に(青)を支払わない限り、これは、そのプレイヤーに追加の3点のダメージを与える。」
これはソーサリーなので、プレイしたら墓地に落ちる。遅延誘発型能力が誘発するより前に他のカードが墓地に落ちたら、このカードの存在を忘れ、遅延誘発型能力のことも忘れてしまうのは十分ありそうな話だ。
このカードを記憶問題が生じないように改造するとすれば、以下のようになるだろう。
「プレイヤー1人を対象とする。消しえる火はそのプレイヤーに3点のダメージを与える。ダメージを与えたプレイヤーを記録し、このカードをくすぶりカウンタが載った状態でゲームから取り除く。
記録されたプレイヤーは、インスタントを使用可能なときであればいつでも、(青)を支払うことによりこのカードをオーナーの墓地に置いてもよい。
あなたのアップキープの開始時に、このカードがくすぶりカウンタが載った状態でゲームから取り除かれている場合、消しえる火はそれが記録しているプレイヤーに3点のダメージを与え、このカードはオーナーの墓地に置かれる。」
挙動は若干変わるが、ソーサリーではなくCIPを持ったエンチャントにすれば、もっと簡素なテキストになる。
「エンチャント - オーラ エンチャント(プレイヤー)
被覆
消しえる火が場に出たとき、それはエンチャントされているプレイヤーに3点のダメージを与える。
あなたのアップキープの開始時に、消しえる火はエンチャントされているプレイヤーに3点のダメージを与え、それを生け贄に捧げる。
(青):消しえる火を生け贄に捧げる。この能力は、エンチャントされているプレイヤーのみがプレイできる。」
コンフラックスでは「玉砕」なんていう使い捨てのエンチャントがあるぐらいだから、別に問題もないだろう。
ルールやテンプレートの整備がようやく完了した、という段階のR&Dなら、そのようなデザインになっていたに違いない。
この、記憶問題軽視化傾向は何を意味するのだろう。ユーザーがゲーム慣れして、もう細部まで規定しなくても問題なく処理できるというリサーチ結果でも出たのだろうか。単にR&Dの質が落ちて本当にタガが緩んでるだけ、という結論だけは無しにしてほしい。
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プロフィール
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職業:
ゲーム会社勤務
趣味:
電源不要ゲーム
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