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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
読了。
これもまた山本弘らしく「平易な文章」「メッセージ性強め」「センス・オブ・ワンダー薄め」「サブカル臭」「不合理なものを信じる人間の愚かさ&知性(と、それに裏付けられた意思)の賛美」という特徴を有している。あと「安定したクオリティ」も。

「アイの物語」のようなオムニバス形式ではないので、あれほどメッセージ性は明確でない(短い作品のほうがメッセージ性が強く出るため)。そのぶんセンス・オブ・ワンダーがやや多め。ミラーマター、ピアノドライブなどは先端科学に興味を抱かせるに十分なギミック。
「アイの物語」との差分として強く感じたメッセージは、仮想でなく現実に価値を見出すべし、というのと、政治的な意思決定手段としての民主制の欠陥、だった。
前者はエヴァの劇場版とかを思い出してしまうが、現実との比較対象が「破滅を受け入れてそれまでを楽しく生きる」なのでそのレベルで反発すべき点はほとんどなく、露悪的で上から目線だったアレに比べてよほど受け入れやすい。
後者はとにかく意思決定&利害調整に時間がかかりすぎると、深刻ではあるがゆっくりと進行する問題がある場合に直接的影響を受けない年寄りが功利的に動けば問題への対処が政治的多数派になれないこと。24年後に地球に破滅をもたらす天体は今の日本の年金問題や財政問題、少子化問題などについてのメタファーではないかと思われる。
特に、進行中の少子高齢化に対処する政策を打ち出しても、それらの政策が乳幼児や子供や育児家庭への手当てを厚くする以上年寄りへの手当ては薄くなり、投票権を持つ年寄りが功利的に動けばそれらの政策は支持されずに潰される。しかも年々年寄りの比率は増えていく。
つまり、長期的問題については年寄りが滅私して己の利益よりも社会全体の発展を考えるようにならなければ改革が行えないわけで、このような人の善意に期待する制度は明らかに欠陥がある(システムそのものが自身の効能を保証しないと完全なシステムとは呼べない)。
年寄りの滅私の動機になるのが愛国心だったり子供や孫への愛情だったりするのだろうが、前者は日本では念入りに撲滅されたし、後者は子供を作らない人が増えることで断絶が進みつつある。
まあ、別段政治システムに限ったことではなく、あらゆるシステムは作られた時点での状況と未来予想に従って作られているので、運用しているうちに状況が変化して使い物にならなくなっていくのが当然なわけで。
相当制度疲労が進んでいてヤバイんじゃねーのという話。

ある作品から何を感じるかは受け手に依存する部分が大きいので、これが一般的な解釈だとは思わない。しかしFKはそのように感じました、ということで。
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