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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
さて、テーロス発売である。
イニストラードブロックとM13がOUTして、スタンダードのカードプールが最大→最小へと縮小するこの時期の環境を分析・予測する。

1)マナベースの脆弱化・不安定化・低速化
 10枚のM10ランドが使えなくなり、その代替品は確定タップインの神殿サイクル5枚だけ。
 したがって、速攻デッキでは3色以上の構成は現実的でなくなり、色を減らすかミッドレンジにシフトせざるをえなくなるだろう。二色の速攻デッキでも神殿サイクルを入れるべきかどうかは微妙なところで、不安定さに目をつぶって基本土地に頼るか、単色化するか、ミッドレンジにシフトする可能性は十分ある。
 これにより、「マナベースはどうとでもなるから、とにかくパワーカード突っ込んだもん勝ち」という状態は薄れ、マナの安定かスピードかカード1枚の質か、というようなさまざまな段階での選択が意味を持つ構築環境になるだろう。かくあるべき。
 一方、低速デッキにとって神殿はタップインであっても占術付きの意味は大きく採用する価値は十分。魔鍵、導き石、旅行者の護符などの色マナ調達用アーティファクトも活用しやすく、3色以上でもさほど無理なく回せるデッキが組めるだろう。
 参考までに、各色の組み合わせの土地基盤を書き出してみる。
 ショックランド1    イゼット、ゴルガリ、セレズニア、ラクドス、アゾリウス
 ショックランド1神殿1 ボロス、グルール、オルゾフ、デイミーア、シミック
 ショックランド3神殿1 ジャンク(WBG)、ジャンド、トリコロール、グリクシス、バント
 ショックランド3神殿2 エスパー、ナヤ、URG、WBR、UBG

2色ではもともと低速志向なオルゾフ・デイミーアが有望か。
3色はエスパーが有望だが青の薄さがやや気にかかる。青の濃さではUBGがカウンターと高品質な単体除去をあわせ持っており、パーミッションはやりやすいかもしれない。軍勢の集結をフィニッシャーとする除去コンになることが予想されるWBRもそこそこいけるか?

2)低速化、カウンター優位へ
上記の流れは高速デッキには逆風で、環境は低速化するだろう。そうすると、青いじめ環境だったイニストラードブロックが落ちたこともあってカウンターが相対的に強力になる。カウンターし損なっても漸増爆弾と英雄の破滅でほぼカバーできる青黒はマナ基盤的にも有望。


…という認識に立った上で、テーロスに目を向ける。
まずはメカニズムについて。
授与:授与で唱えることを前提にするにはたいていの場合重すぎるため、授与クリーチャーが単体でどれぐらいの仕事ができるかに掛かっている。大部分は構築での使用に耐えないと思われるが、ごく一部が主に英雄的との組み合わせで有望であろう。
英雄的:白と緑は主に自己強化、他は呪文的に作用する効果。とはいえ、これ「だけ」を目的に自分のクリーチャーを対象にとるカードを入れる価値はほとんどない。これもまた、英雄的能力無しでどれぐらい仕事ができそうかというのが各クリーチャーの評価の基準となるだろう。
英雄的を誘発させる目的で入れるカードとしては戦士の教訓がベストか。対象を2体取れるので二人分誘発させることができ、両方を潰して立ち消えさせることも難しく、片方の攻撃でも通ればカードカウントはイーブン、マナの消費も1マナぽっきり。威名の英雄や運命の工作員との相性も良好。…二色になることがすでに問題であるとも言えるが。他は暗号呪文が候補になるか。現実的な選択肢としては見えざる糸と身分詐称。前者は効果は地味だが軽くて使いやすい。後者は強力だがとにかく重く、英雄的能力持ちより他のものを対象にしたいケースが多そう。
怪物化:怪物化に対応して除去されるととにかくテンポ損が著しいため、相手がタップアウトしているのでなければ、よっぽどやることがないときにしか起動すべきでないだろう。つまり、あまりアテにはできないということで、これまた怪物化能力無しで評価することになる。

占術と神、信心については見たままなので特記なし。

で、各カードの評価を。

★太陽の勇者エルズペス
重いけど強い、強いけど重い枠。ある意味、ニンの杖や原始の報奨などに近い。低速化が予想されるのでそこそこ有望。

★太陽の神、ヘリオッド
一度着地させれば、インスタントタイミングでトークンを出せるのでパーミッション向き。当然コントロール向きでもある。伝説のパーマネントなのでたくさん入れたくはないが、勝ち手段の一つとしてならあり。軍勢の集結をフィニッシャーとするデッキとかなら1枚差すといいかも。

★海の神、タッサ
最低限の働きである自動占術装置としてでも、コントロールデッキに1枚差す価値はある。アンブロッカブル付与もフィニッシャーに大型クリーチャーを使うなら役立つだろう。クリーチャーとして機能させるのは期待薄。

★死者の神、エレボス
対抗策的な能力はいやらしいがつまらない。夜の囁きを何度でも使えるようなドロー能力は無駄にはならないが、地下世界の人脈のほうが使い勝手はよい。色の特性上クリーチャー化させやすいのは利点。

★鍛冶の神、パーフォロス
トークンを生成するカードとの相性はかなりのもの。ボロスの反攻者などと併用すればクリーチャー化も視野に入れやすい。ただ、伝説のパーマネントの常としてデッキに何枚入れるべきかにはいつも悩まされる。

★狩猟の神、ナイレア
付与能力も起動型能力もきわめて地味で、1枚であっても差すべき積極的な理由が見当たらない。

★嵐の息吹のドラゴン
雷口のヘルカイトに比べれば悲しい限り。少なくともこれがトップレアってことはないと思う。

★世界を喰らう者、ポルクラノス
死橋の大巨虫より少し強い。怪物化ははまれば強いが例によってテンポ損に注意。

★老いざるメドマイ
この色ならフィニッシャーに霊異種を使うだろ?

★灰燼の乗り手
1マナ増えて誘発能力が破壊から追放になり、死亡時にも誘発するようになった絶望の天使。コストを踏み倒す手段があれば本家よりも強力だが、現時点では相方に恵まれない様子。

★波使い
ポテンシャルはかなりのものがあると思うが、青の信心を稼ぐデッキというのが特異すぎて、完全にこれ4枚頼りのデッキになりそうなのが困りもの。さすがにそのためだけに4枚揃える気にはならんよ。

★悪夢の織り手、アショク
いい感じに微妙なプレインズウォーカー。500円ぐらいになったら使ってみてもいいかな。たぶんそう遠い日ではないだろう。

★死の国のケルベロス
単体での戦闘力は5マナマルチとして十分なものだが、死亡誘発能力の扱いが悩ましい。
こちらがアグロで相手が除去コンなら一方的に得をできるかもしれない。両者アグロなら結果は読みづらいが、クリーチャーを3体揃えてブロックされて死ぬとその戦闘で倒したクリーチャーも蘇ってしまうのが悩みどころ。自分がコントロールで運用するにはハイリスク。
神々の憤怒でザコを追放してしまえばブロックもされづらく、蘇ってくることもないので好相性。

★歓楽者ゼナゴス
とりあえず忠誠度消費なしでトークンを出せる時点で十分実用的だが、緑赤のマルチカラーと言う時点で相当入れるデッキを選んでしまうというこの事実。

★天界の執政官
単体性能は可も無く不可もなし。ただ、2マナ多く払えればなんでもフィニッシャーに化けさせることができ、そいつ自身の能力も上乗せできるというのは悪くない。希望の幻霊や悪意の幻霊とはどっちがどっちについてもなかなかの仕事ができる。威名の英雄ならさらに良し。
20円なら買っても損はあるまい。

★威名の英雄
ミラディンの十字軍や銀刃の聖騎士には劣るものの、3マナで4点ぶんの打撃力を持ち、強化系能力との相性の良さも考え合わせれば決して悪いクリーチャーではない。英雄的能力を無視してもデッキに入りうるカードで、130円なら買って損はない。

★ヘリオッドの槍
白の絡むいろんなデッキで1枚差しを検討できる良カード。

★運命の工作員
3マナパワー3で接死持ちというのは悪くないが、さすがに英雄的能力抜きでデッキに入るほどでもない。英雄的能力は強力なのでこれをどう活用するかが鍵になる。オルゾヴァの贈り物…?微妙だな。やっぱり戦士の教訓か。

★エレボスの鞭
黒くてそれなりにクリーチャーを使うデッキなら一枚差ししない理由はあまり見当たらないカード。群れネズミがいれば手札でかぶっても捨てられるので複数枚デッキに入れても扱いやすい。

★英雄の破滅
コントロール、特にパーミッションには待望の一枚。インスタントタイミングでプレインズウォーカーを破壊できるのは大きいし、対象の広さによって腐りにくいのもよい。ただし、殺害を使った人にはわかるだろうが、3マナは単体除去としては重く、メインから4枚積みたいカードでもない。メインに2~3枚、残りはサイドだろう。

★神々の憤怒
ビッグレッドの勃興を予感させる強力な全体除去。タフネスが4以上かどうかがクリーチャー選択の1つの基準となり、さらにそのうえにタフネスが5以上かどうかというふるいをミジウムの迫撃砲がかけることになるだろう。

★燃えさし呑み
4マナ5/5の死橋の大巨虫は空気だったが、4マナ4/5のこいつはどうか。
単色化を後押しする環境要因と、色の違いによってこいつは見込みがある。特に、自分で撃った神々の憤怒で死なないのは大きい。30円なら買っても損はあるまい。

★火呑みのサテュロス
ジャッカルの仔の上位互換だが、昔よりはるかにクリーチャー同士のぶつかり合いが多くなった現代において、バックラッシュのペナルティは相当リスキーに思われる。

★加護のサテュロス
授与コストが5マナと手ごろで、瞬速により奇襲的に使える授与クリーチャー。青緑または青緑黒でカウンターのために残したマナで運用するには手ごろかもしれない。

★羊毛鬣のライオン
怪物化の常として、対応して除去されたときのリスクは大きいものの、呪禁と破壊不能という過剰なまでの除去耐性を得られるリターンは大きい。その後壁で止められたりするとバカバカしいのでひるまぬ勇気などを併用したい。

★荒野の収穫者
これまた4マナ4/5で、緑が絡むぶんサイズ的には旨みが乏しいが、マナさえあれば呪禁を得られるので強化の土台にしやすいというメリットがある。そのほかにも、黒1マナで接死が得られたり、他のクリーチャーが死ぬたびに誘発する占術1も無駄にはならない。接死はトランプル、先制、二段攻撃と相性がいいのでやはり強化の土台向けであるといえる。
除去耐性があり占術1が誘発するのはコントロール向きでもある。なかなかの良クリーチャーと言ってよいのではないだろうか。80円なら買って損はない。


…他はまあどうでもいいかな。それより、環境の変化でラヴニカの回帰ブロックとM14のカード評価がどう変わるかのほうが重要だが、それは次の機会に。
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