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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
作者のジャック・ヴァンスという人はSF書きだがファンタジーの香りがするSFもよく書く人で、その後のファンタジーやSFに多くの影響を与えたらしい。TRPGのD&Dとか、大作ハイペリオン四部作にも影響を与えたとか。
「竜を駆る種族」はいかにもそのような評判が納得できる内容で、異世界感あふれる世界が精緻に描かれている。この世界に侵攻してくるのが宇宙船に乗った戦闘部隊なのだが、これが海の向こうの魔族の軍でもいっこうにかまわなそうな感じだ。その侵攻してくるのがトカゲ人で、かつても一度侵攻してきているのだが、お互いに捕虜を得た状態で戦争が終わり、そのトカゲ人を戦闘用に品種改良したのが表題でいう「竜」であるのがこの作者のなんとも一筋縄ではいかないところだ。しかも、今回の侵攻でトカゲ人が使役するのが前回の戦争で捕虜となった人間をベースに戦闘用に品種改良した巨人兵という実に皮肉極まる構図。さらにその世界には世俗的なことに関心を持たず哲学的な思索に生きる隠者めいた種族もいて、さまざまなところでセンスオブワンダーに溢れている。そのあたり、ファンタジーの香りこそするもののやはりこれはSFであろうと思える。
「ノパルガース」は一転、地球をおもな舞台としたSF。冒頭、遠く地球から離れた異星でその星の種族が何らかの理由で2つに分かれて争い、ついに一方が勝利を収めたところから始まり、その戦いがある意味において地球にも飛び火してくる…という、壮大な「起承」であるが、「転結」部分は何やらえらくこじんまりと収束するという奇妙な肩透かし感がある作品だった。なにしろ、主要人物はわずかに4人、地球側でこの事態を把握するに至ったのがそのうちの3人だけ、というところから最終的な影響範囲がものすごく狭い話だとわかるだろう。オチの付け方も肩透かし感が強い。とはいえ、精神寄生体の発想は面白い。おそらく、ジャック・ヴァンスは理性の信奉者なのだろう。誰かが理不尽な感情の激発を見せたときに「お前、精神寄生体に操られてるんじゃないの?」と思いたくなる感覚が彼にこの発想をもたらしたのではないか、という気がする。
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