電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
前回までのエントリで、プレイヤー間での競争要素を含むオンラインRPG等は時間リソースにおける廃人推奨仕様化を避けて行動力制の採用が一般的になった、というところまで書いた。
しかし、行動力制を採用したゲームであってもシステムに穴が存在して廃人プレイが可能なケース、あるいは行動力制を扱うシステム自体に問題があり事実上廃人プレイを推奨してしまっているケースが存在する。今回はこれらについて述べる。
まずはシステムの穴の例のほうから。
DragonWarCry(以下、DWC)では、いわゆる行動力であるところのMVPを消費して行動しても強制セーブもしくは任意セーブの前ならリロードしてやり直しが可能だった。このため、モンスターを倒したあとのドロップの内容が気に食わない場合、リロードして倒し直せばドロップの再抽選ができた。
これを最大限悪用したのが、ユニークアイテム掘りの廃人プレイだった。
敵を倒したときに宝箱が出て、その宝箱からユニークアイテムが出るまで、敵を倒してはリロードをひたすら繰り返すのだ。ユニークアイテムの出現は低確率だが、宝箱を一回開けるたびに抽選が行われている以上、リロードを繰り返して抽選回数を何倍にも何十倍にも増やしたらいずれヒットする。というより、根気さえあればユニークアイテムが出現するまでひたすらリロードを繰り返せたので、「必ず」ユニークアイテムを出させることができた。
これはつまり、1MVPの価値をリロード&リトライで引き上げることが可能ということを意味し、見事に廃人プレイの温床となった。
それ以外には、市場経済関係が廃人プレイが可能な作りだった。特にどうということもない、ネットの「売ります/買います」やオークションを可能にする程度のシステムにすぎないが、掘り出し物を探したり買取が高い店を探したりすれば利益を生み出すことができる。しかし、それには店の価格情報や在庫情報を細かくチェックする必要があるわけで…。
MVPを消費しないで金を稼ぐ手段があるなら、その効率を極めようとすれば必ず廃人プレイに至る。
次に、システム自体に問題がある例。
Lord of Walkure(以下、LoW)はドリランドライクなシステムで、クエスト攻略用の行動力である「体力」と、大ボスバトルや対人戦用の行動力である「フォース」の二本立て。これらはどちらも実時間1分で1蓄積される。
ここまでは問題ない。問題なのは、これらを蓄積しておける上限値がプレイヤーのステータス値として成長対象になっており、初期値は10しかないということ。10分経つと最大値まで貯まり、それ以上は溢れてしまうわけだから、プレイ効率を追及すると10分おきに行動力を使い切るプレイが推奨されていることになる。
ステータスの成長は1レベルアップごとに3ポイントを3つのステータスに割り振る形式で、たとえば50レベルぶんを全て体力に費やすと+150で160。あと、最大30人のフレンド枠で各ステ+1されるのでそれを最大限活用すると+30で190。これでようやく、体力蓄積溢れを起こさないためには約3時間おきのプレイですむ状態だ。
ちなみに、DWCでは20分ごとに1MVP蓄積で上限が200だったので、MVP蓄積溢れを起こさないためには約3日に一度プレイするだけでよかった。
なお、50レベルに到達するには21000以上の体力を費やす必要があり、これを時間換算すると350時間。体力蓄積溢れを一切起こさないようにプレイして、約14.5日かかる。
じょじょに緩和されていくとはいえ、効率的なプレイのためにはゲームに張り付いていなければ
ならないという点で、じゅうぶん廃人推奨仕様だといえるだろう。
さて、2つのケースを説明してきた。簡単にまとめよう。
前者は行動力制のシステムのもとにあって行動力の制約下にない要素に時間リソースを投下してゲームを有利にできてしまうケース。
後者は行動力制のシステムを最大効率で活用する手段自体が時間リソース的に廃人推奨仕様であるケース。
このようなケースでは、行動力制を採用する本来的な意味であるところの「時間的リソース面での廃人推奨仕様の回避」は果たされておらず、むしろかえって悪化しているようにすら思える。
というのは、いささか感覚的な話になるが、人間は嗜好を満たす行動をなんの制約もない状況で行うよりも、何らかの制約下でその制約を振り切ったりすり抜けたりして行うほうがより強くのめりこむ傾向があるからだ。そのことは、「恋は障害があるほど燃え上がる」とか、禁酒法下で密造酒が横行して飲酒はむしろ増えたとか、試験期間中ほど遊びたくなるとか、経験則としてよく知られている。
特にこの場合、「自分は事態を優位に進めている」という確信およびそれにともなう愉悦が存在するため、行動力制のないシンプルな「時間的リソース面での廃人推奨仕様」よりものめり込みやすい危険性を持っている。
※なお、課金ゲームではこの制約を打ち破る方法として課金アイテムを使っていることが多い。これにはまた別の問題があるので、別エントリで詳述する。
ゲームシステム構築の際に、ある仕様を追加で採用することで全体のバランスが歪むことはしばしばある。特にオンラインゲームなどは多くの人間が長い時間遊ぶものなので、うかつな見落としでシステム全体を危うくするようなことのないようにしてもらいたいものである。
しかし、行動力制を採用したゲームであってもシステムに穴が存在して廃人プレイが可能なケース、あるいは行動力制を扱うシステム自体に問題があり事実上廃人プレイを推奨してしまっているケースが存在する。今回はこれらについて述べる。
まずはシステムの穴の例のほうから。
DragonWarCry(以下、DWC)では、いわゆる行動力であるところのMVPを消費して行動しても強制セーブもしくは任意セーブの前ならリロードしてやり直しが可能だった。このため、モンスターを倒したあとのドロップの内容が気に食わない場合、リロードして倒し直せばドロップの再抽選ができた。
これを最大限悪用したのが、ユニークアイテム掘りの廃人プレイだった。
敵を倒したときに宝箱が出て、その宝箱からユニークアイテムが出るまで、敵を倒してはリロードをひたすら繰り返すのだ。ユニークアイテムの出現は低確率だが、宝箱を一回開けるたびに抽選が行われている以上、リロードを繰り返して抽選回数を何倍にも何十倍にも増やしたらいずれヒットする。というより、根気さえあればユニークアイテムが出現するまでひたすらリロードを繰り返せたので、「必ず」ユニークアイテムを出させることができた。
これはつまり、1MVPの価値をリロード&リトライで引き上げることが可能ということを意味し、見事に廃人プレイの温床となった。
それ以外には、市場経済関係が廃人プレイが可能な作りだった。特にどうということもない、ネットの「売ります/買います」やオークションを可能にする程度のシステムにすぎないが、掘り出し物を探したり買取が高い店を探したりすれば利益を生み出すことができる。しかし、それには店の価格情報や在庫情報を細かくチェックする必要があるわけで…。
MVPを消費しないで金を稼ぐ手段があるなら、その効率を極めようとすれば必ず廃人プレイに至る。
次に、システム自体に問題がある例。
Lord of Walkure(以下、LoW)はドリランドライクなシステムで、クエスト攻略用の行動力である「体力」と、大ボスバトルや対人戦用の行動力である「フォース」の二本立て。これらはどちらも実時間1分で1蓄積される。
ここまでは問題ない。問題なのは、これらを蓄積しておける上限値がプレイヤーのステータス値として成長対象になっており、初期値は10しかないということ。10分経つと最大値まで貯まり、それ以上は溢れてしまうわけだから、プレイ効率を追及すると10分おきに行動力を使い切るプレイが推奨されていることになる。
ステータスの成長は1レベルアップごとに3ポイントを3つのステータスに割り振る形式で、たとえば50レベルぶんを全て体力に費やすと+150で160。あと、最大30人のフレンド枠で各ステ+1されるのでそれを最大限活用すると+30で190。これでようやく、体力蓄積溢れを起こさないためには約3時間おきのプレイですむ状態だ。
ちなみに、DWCでは20分ごとに1MVP蓄積で上限が200だったので、MVP蓄積溢れを起こさないためには約3日に一度プレイするだけでよかった。
なお、50レベルに到達するには21000以上の体力を費やす必要があり、これを時間換算すると350時間。体力蓄積溢れを一切起こさないようにプレイして、約14.5日かかる。
じょじょに緩和されていくとはいえ、効率的なプレイのためにはゲームに張り付いていなければ
ならないという点で、じゅうぶん廃人推奨仕様だといえるだろう。
さて、2つのケースを説明してきた。簡単にまとめよう。
前者は行動力制のシステムのもとにあって行動力の制約下にない要素に時間リソースを投下してゲームを有利にできてしまうケース。
後者は行動力制のシステムを最大効率で活用する手段自体が時間リソース的に廃人推奨仕様であるケース。
このようなケースでは、行動力制を採用する本来的な意味であるところの「時間的リソース面での廃人推奨仕様の回避」は果たされておらず、むしろかえって悪化しているようにすら思える。
というのは、いささか感覚的な話になるが、人間は嗜好を満たす行動をなんの制約もない状況で行うよりも、何らかの制約下でその制約を振り切ったりすり抜けたりして行うほうがより強くのめりこむ傾向があるからだ。そのことは、「恋は障害があるほど燃え上がる」とか、禁酒法下で密造酒が横行して飲酒はむしろ増えたとか、試験期間中ほど遊びたくなるとか、経験則としてよく知られている。
特にこの場合、「自分は事態を優位に進めている」という確信およびそれにともなう愉悦が存在するため、行動力制のないシンプルな「時間的リソース面での廃人推奨仕様」よりものめり込みやすい危険性を持っている。
※なお、課金ゲームではこの制約を打ち破る方法として課金アイテムを使っていることが多い。これにはまた別の問題があるので、別エントリで詳述する。
ゲームシステム構築の際に、ある仕様を追加で採用することで全体のバランスが歪むことはしばしばある。特にオンラインゲームなどは多くの人間が長い時間遊ぶものなので、うかつな見落としでシステム全体を危うくするようなことのないようにしてもらいたいものである。
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