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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
ラヴクラフト全集、「クトゥルー<暗黒神話体系シリーズ>」、タイタス・クロウ・サーガ、その他の作品をそれなりに読んだので、一旦ここで自分なりのクトゥルフ神話系ホラーの理解を言語化しておこうと思う。

恐らくだが、ラヴクラフト以前はホラーといえば伝承由来の怪奇譚だったのだろう。舞台を変えたり登場人物を変えたり、作者がさまざまなアレンジを加えていても、骨組みやテーマはどこか似通っている。
そして、その怪奇がかき乱す善なる秩序というのはもちろんキリスト教的秩序だ。あくまでかき乱すだけであり、その秩序を根本的に否定したりはしない。

それに対し、ラヴクラフトが打ち出したホラーはSF的だ。宇宙から飛来した異星種族に由来する事件などが典型的。また、「人類が知るべきではなかった真実」みたいな大きなIFを扱うテーマもSF的といえる。それらのSF的な視座は徹底して冷たく無慈悲で、天にまします主が人類世界を守ってくれたりはしない。その「神の秩序の不在」がグロテスクな形で表出したときに作中で「冒涜的」と表現されるのであろう。
クトゥルフ神話系ホラーでの「冒涜的」は特徴的で、悪魔崇拝や悪魔そのものの冒涜性とは明らかに違う。悪魔崇拝は確かに恐ろしくておぞましいかもしれないが、あくまでキリスト教秩序の敵としてキリスト教秩序の枠内にある。クトゥルフ神話系ホラーでの「冒涜的」は前述のとおり、神の秩序の不在なのだ。これはキリスト教的秩序が文化の根幹にある欧米圏の人にとってはかなり衝撃的な内容だったと思われ、これこそがラヴクラフトの新奇性の本質であろう。

そう把握したうえで、ラヴクラフトフォロワーの作品も見ていく。
オーガスト・ダーレスは旧神設定を持ち込み、クトゥルフ神話に「宇宙版の神の秩序」を組み込みなおした。これは当時の人々にとっては極端すぎた新奇性を和らげ、受け入れやすくする効果はあっただろう。しかし自分にとってはせっかくの尖った箇所を損なってしまったように感じた。
ブライアン・ラムレイによるタイタス・クロウ・サーガは、初期の作品はクトゥルフ神話版シャーロックホームズといった趣でそれなりにホラーしている。だが、時空往還機が出てからは「サーガ」と呼ばれる通り宇宙版ヒロイックファンタジー。ダーレスがまとめなおした設定を下敷きにした二次創作という印象。
上記の二人に比べると、ラムジー・キャンベルは(邦訳された作品が少ないようなので数作しか読めていないが)SF性が強めで、コンセプト的にも正しくラヴクラフトフォロワーをしているように思えた。世界の真の姿を見ようとしてダオロスを呼び出し破滅する男の話などは「人類が知るべきではなかった真実」のパターンそのものだ。
自分にとっては、この3人以外はあまり印象的ではなかった。
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