よく知られたレシピだと、サイズは大きいがデメリット持ちの冒涜の悪魔、盤面に悪影響が出にくく空振りも起こりにくいスラーグ牙、ややパワー偏重で不死持ちのゲラルフの伝書使などを生け贄に捧げて運用するようになっているが、黒緑系なら他にも選択肢がある。
怨恨:
言わずもがな。ただしこれ系のデッキは仕込んでいるギミックが多いので4枚投入は難しい。ややアグロ寄りに調整したうえで2枚程度入れ、ドローサポートで補うのがよさげ。
墓所這い:
引ける枚数はささやかだがロスのほとんどない生け贄候補。怨恨を付ければ引ける枚数も満足のいくものに。
ゴルガリの不死の王、ジャラド:
どれだけ引けるかは墓地にあるクリーチャーカードの枚数しだいだが、沼森生け贄で手札に戻れるということもあり5枚も引ければ十分といえる。ジャラド自身の能力が生け贄のパワーを参照する効果なので、デッキの方向性をそろえやすいというメリットもある。
不浄なる者、ミケウス:
人間でないクリーチャーが皆1サイズアップし、不死がついて生け贄によるロスが減る。黒緑系はほとんど人間を使わないが、ボーラスの信奉者自身が人間であることにだけは注意。
特に、「クリーチャーが死亡するたび1点ドレイン」のシステムは実に黒らしく、そのくせ今までありそうでなかった能力なのでスタンダードを去っていくのが惜しく感じられる。
まあ、プレイヤーとしてはその感情のやり場はデッキを組んで遊ぶことしかないわけだが。
「ゾンビ・バンパイア・コントロール」
<クリーチャー 23>
4 墓所這い
4 血の芸術家
4 ゲラルフの伝書使
4 死体の道塞ぎ
4 吸血鬼の夜鷲
1 流血の鑑定人
1 ファルケンラスの貴族
1 不浄なる者、ミケウス
<呪文 13>
3 悲劇的な過ち
3 夜の犠牲
2 血統の切断
2 もぎとり
3 地下世界の人脈
<土地 24>
24 沼
<サイドボード>
省略
さて。それなりに殴れるクリーチャーもいるにはいるが、基本的な勝ち筋は前述の死亡誘発ドレイン+墓所這い生け贄ループである。
リミテッドでしか出番が無さそうなクリーチャーが入っているが、こと黒単においては生け贄エンジンの選択肢はそれほど多くない。血の座の吸血鬼、流血の鑑定人、死体の道塞ぎぐらいだ。前二者はどちらかといえば攻撃的な運用をするための生け贄エンジンで、特に血の座の吸血鬼は墓所這いループで巨大なサイズになって殴りかかる、という勝ち筋にもなってくれるのだが、コントロールデッキに入れるにはちぐはぐな印象が否めない。別の側面に目を向けると、墓所這いループのためにはゾンビが必要という条件もある。それも、軽除去で簡単に除去されてしまわない、場持ちがいいゾンビであることが望ましい。墓所這い自体は無条件で4枚採用し、不死を持ち単体のカードパワーが高いゲラルフの伝書使も場持ちがいいゾンビとして躊躇無く採用できるが、他はどうか?というと意外と候補が少ない。黒単ならなおのこと。
そうして少ない候補から検討すると、タフネス4という軽火力に焼かれない壁であり、自ら生け贄エンジンも兼ねる死体の道塞ぎは、このデッキにおいては絶妙に噛み合ったパーツとして存在感を見せるのである。
あと特記すべきは不浄なる者、ミケウスであろう。これも墓所這いループに役立つタフなゾンビであり、不死付与の効果で生け贄に二回捧げられるようになり、単体でも回避能力持ちフィニッシャーとなり、こちらがアグロ側となっている展開なら全体強化による一押しが効果的に機能することもある、とどの点をとっても有用で、少なくとも1枚を採用することにまったく躊躇はない。
ターニー1に勝てるか?というと特に有利というほどでもないかもしれないが、ライフを払って1ドロー、というところも込みで実に黒らしさに溢れており、回していて楽しいデッキである。手札破壊がない?それはサイドボードからってことで…
エンチャント
プ
レイヤー1人が自分の手札から呪文を1つ唱えるたび、そのプレイヤーはそれを追放し、その後、自分のライブラリーの一番上から、それと共通のカード・タイ
プを持つカードを追放するまでカードを追放し続ける。そのプレイヤーはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。その後、そのプレイ
ヤーは吹き荒れる潜在能力により追放されたすべてのカードを自分のライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。
--------------
赤によくあるカオスな挙動を発生させるエンチャントだが、対象が全て無作為になるようなどうにもならない奴に比べれば、実は意外と御しやすい部類に属する。
挙動自体は、場を介さずに《変身》をやっているようなものだと言える。場を介する場合はトークンを使ってお目当てのものを必ず引き当てたりできるが、場を介さない場合そうはいかない。
それでも、コストの軽いものと重いものを二極分化させることで、軽いほうを唱えて重いほうを得るチャンスが得られる。カードタイプをばらけさせることで二極分化をさまざまな形で盛り込み、二極分化がままならないものについてはなるべく効果を共通化させることで挙動を予測可能なものにする。
以上をふまえて、こんな感じでどうだろうか?
「ダンス・ウィズ・ケイオス」
<クリーチャー 6>
4 吸血鬼の夜鷲
2 グリセルブランド
<ソーサリー 14>
3 戦慄掘り
4 もぎとり
3 血統の切断
4 天才の煽り
<インスタント 4>
4 夜の犠牲
<エンチャント 4>
4 吹き荒れる潜在能力
<アーティファクト 5>
4 イゼットの導き石
1 ニンの杖
<プレインズウォーカー 3>
2 炬火のチャンドラ
1 プレインズウォーカー・ニコル=ボーラス
<土地 24>
4 血の墓所
4 竜髑髏の山頂
4 湿った墓
10 沼
2 硫黄の滝
<サイドボード 15>
省略
クリーチャーは夜鷲とグリセルブランド、どちらも飛行と絆魂持ち。
ソーサリーは全部除去。血統の切断は安心の追放除去で、フラッシュバックは吹き荒れる潜在能力の影響を受けない。天才の煽りは、手札に来てしまった重いカードや二枚目以降の吹き荒れる潜在能力を有効活用するためのもの。
インスタントは一種類に絞って確実に除去できるようにする。問題は、4枚目を唱えても無意味になることだが、まあそれはあまり考えなくても大丈夫だろう。
アーティファクトは導き石でマナを伸ばす&黒以外の色マナをカバーしつつ、ニンの杖に化ける可能性をキープ。
プレインズウォーカーをコストが安いヴェールのリリアナにしなかったのは、炬火のチャンドラのコピー能力との相性を考慮してのこと。吹き荒れる潜在能力があっても、コピーは最初に唱えた呪文のものなので、最低でも半分は確実に狙った効果になる。特に、天才の煽りを撃つときなどに重要な意味を持つだろう。そして、化ける先は当然ニコル=ボーラス。
土地は、もぎとりのために沼18枚を確保。
そんな感じです。
「ゴルガリ総力戦」
<クリーチャー 29>
4 東屋のエルフ
3 骨塚のワーム
1 裂け木の恐怖
3 国境地帯のレインジャー
3 縞痕のヴァロルズ
2 ボーラスの信奉者
2 ゴルガリの死者の王、ジャラド
2 屍体屋の脅威
1 自然の伝令、イェヴァ
4 スラーグ牙
4 ウルフィーの銀心
<呪文 8>
4 根囲い
4 忌まわしい回収
<土地 23>
4 草むした墓
4 森林の墓地
10 森
5 沼
<サイドボード 15>
省略
さて、回してみた感想。
・墓地を肥やして骨塚のワームを「活用」する動きは強烈で、デッキコンセプトとして十分あり。ジャラドで投げ、活用してさらに投げれば戦闘一切なしで20点削ることも夢物語ではない。
・その一方で、墓地参照クリーチャーは墓地が肥えていなければ紙なので枚数が多すぎても困る。活用をメインで考えるとコストが安いにこしたことはないので、裂け木の恐怖は不要か。自分のライブラリを削る能力が強制なのも嬉しくない。
・サイズを大きくすることは容易だが突破力がなくて困ることもしばしば。やはりロッテスのトロールを採用するのがベストだろう。ラムホルトの勇者もいける。冠角獣も1枚ならありか。
・サイズを大きくしやすいので息切れ防止にボーラスの信奉者を入れ、相性のいいスラーグ牙やウルフィーの銀心も入れたが、少々コンセプトがぶれてる感じがするしマナカーブも歪んでいる。もう少し整理したほうがよさげ。
・国境地帯のレインジャーも生け贄にして惜しくないクリーチャーなのだが、それだけ。マナ関係のカードが多すぎという事態になりがちだったので外そう。逆に、屍体屋の脅威は増量してもいい。
というわけで、理想形を考えると…
「ゴルガリ総力戦 Ver1.1」
<クリーチャー 28>
4 東屋のエルフ
4 骨塚のワーム
4 絡み根の霊
4 ロッテスのトロール
4 縞痕のヴァロルズ
2 ラムホルトの勇者
2 ゴルガリの死者の王、ジャラド
4 屍体屋の脅威
<呪文 9>
4 根囲い
4 忌まわしい回収
1 血統の切断
<土地 23>
4 草むした墓
4 森林の墓地
10 森
5 沼
<サイドボード 15>
省略
…というあたりか。
純正黒緑以外で考えると、白を足して掘葬の儀式を入れるのは普通にありだが墓地対策に弱くなる。ちなみに、この元のデッキは墓掘りの檻や地の封印の影響を受けないので、墓地対策にそこまで弱いわけではない。未練ある魂はカードパワー十分で回避能力もあるがクリーチャーカードではないので骨塚のワームとの相性がイマイチ。
青を足して追跡者の本能を入れれば墓地肥やしを増量でき、息切れも防げる。強化先としてバントオーラでおなじみ不可視の忍び寄りが選択可能。
「ナヤコントロール」
<クリーチャー 15>
4 アヴァシンの巡礼者
4 ケンタウルスの癒し手
3 高原の狩りの達人
4 スラーグ牙
<呪文 21>
4 遥か見
3 セレズニアの魔除け
3 忘却の輪
4 軍勢の集結
3 終末
2 集団的祝福
2 小悪魔の遊び
<土地 24>
4 寺院の庭
4 踏み鳴らされる地
4 陽花弁の木立ち
4 根縛りの岩山
2 聖なる鋳造所
3 森
1 ガヴォニーの居住区
2 ケッシグの狼の地
<サイドボード>
1 セレズニアの魔除け
1 鷺群れのシガルダ
4 地の封印
2 ロウクスの信仰癒し人
2 魔女封じの宝珠
3 隔離する成長
2 垂直落下
実用的なライフゲイン手段をがっつり入れるとそれがクロックを兼ねるという現在の謎環境っぷり。
ともかくこれで時間を稼ぎつつマナを伸ばし、軍勢の集結を張ればあとは消耗戦上等。終末で盤面を一掃してしまってもまったく問題なし。
膨れ上がる軍勢がそのうち対戦相手を押しつぶすでしょう。集団的祝福がそれを一気に後押しすることも。
そして、このあたりのパーツはコントロールにとっても対応に困るカードであり、相手の全体除去を警戒して手元に溜めておいたりする必要もないのでプレイがわりと楽。
というわけで、重層的な防御性能を備えつつ攻撃能力も持ち、消耗戦にも対応できるが一気に爆発的なダメージを生み出すこともあるという、安定感と楽しさを兼ね備えたデッキとして自分ではわりと気に入っている。
「神話レア」
不可侵議員/Council of the Absolute ×2 ¥400
ヴィズコーパの血男爵/Blood Baron of Vizkopa ×1 ¥2180
知力の刈り取り/Reap Intellect ×1 ¥130
ラル・ザレック/Ral Zarek ×0
残虐の達人/Master of Cruelties ×0
死橋の詠唱/Deadbridge Chant ×1(FOIL) ¥280
野蛮生まれのハイドラ/Savageborn Hydra ×1 ¥300
軍団の戦略/Legion's Initiative ×1 ¥1280
復活の声/Voice of Resurgence ×1 ¥2880
前駆ミミック/Progenitor Mimic ×1 ¥480
「ショックランド」
蒸気孔/Steam Vents ×1 ¥730
神聖なる泉/Hallowed Fountain ×1 ¥1080
湿った墓/Watery Grave ×1 ¥1080
踏み鳴らされる地/Stomping Ground ×1 ¥1230
「レア」
ヴィトゥ=ガジーの末裔/Scion of Vitu-Ghazi ×2 ¥80
ギルドとの縁切り/Renounce the Guilds ×2 ¥150
特質改竄/Trait Doctoring ×1 ¥20
霊異種/AEtherling ×2 ¥530
荒廃の司教/Pontiff of Blight ×1 ¥20
血の公証人/Blood Scrivener ×2 ¥450
吹き荒れる潜在能力/Possibility Storm ×1 ¥30
薪荒れのシャーマン/Pyrewild Shaman ×0
空殴り/Skylasher ×2 ¥330
反逆の混成体/Renegade Krasis ×2 ¥30
静寂宣告/Render Silent ×3 ¥230
第10管区のラヴィニア/Lavinia of the Tenth ×2 ¥130
オブゼダートの救済/Obzedat's Aid ×1 ¥280
幽霊の特使、テイサ/Teysa, Envoy of Ghosts ×2 ¥50
概念泥棒/Notion Thief ×2 ¥280
精神を飲む者、ミルコ・ヴォスク/Mirko Vosk, Mind Drinker ×1 ¥20
イゼットの模範、メーレク/Melek, Izzet Paragon ×2 ¥20
ドラゴン化/Dragonshift ×2 ¥30
狂気の種父/Sire of Insanity ×2 ¥380
ラクドスの血魔女、イクサヴァ/Exava, Rakdos Blood Witch ×1 ¥350
花崗岩の凝視/Gaze of Granite ×1 ¥280
縞痕のヴァロルズ/Varolz, the Scar-Striped ×3 ¥580
ザル=ターの古きもの/Zhur-Taa Ancient ×1 ¥20
自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed ×4 ¥180
軍勢の刃、タージク/Tajic, Blade of the Legion ×3 ¥50
ボロスの布陣者/Boros Battleshaper ×2 ¥20
イマーラ・タンドリス/Emmara Tandris ×2 ¥20
ワームの到来/Advent of the Wurm ×3 ¥980
育殻組のヴォレル/Vorel of the Hull Clade ×1 ¥30
原形質捉え/Plasm Capture ×1 ¥180
唯々+諾々/Beck+Call ×1 ¥180
覚悟+意欲/Ready+Willing ×2 ¥100
強行+突入/Breaking+Entering ×4(うち1枚FOIL) ¥50
肉体+血流/Flesh+Blood ×3 ¥30
捕獲+放流/Catch+Release ×2 ¥50
「アンコモン(抜粋)」
罪の収集者/Sin Collector ×6 ¥50
化膿/Putrefy ×6 ¥50
ひるまぬ勇気/Unflinching Courage ×6 ¥50
変化+点火/Turn+Burn ×7 ¥80
遠隔+不在/Far+Away ×5 ¥80
以上の合計で、額面¥27550。
2Boxは¥21360だったので、悪くない結果だと言っていいのではなかろうか。
うち約¥4000はショックランドで稼いでいるので、やはりショックランド封入の影響は大きい。モダンのことも考えると何枚あっても困らないしな…
「黒単バンパイア+ゾンビ」
<クリーチャー 30>
4 墓所這い
4 戦墓のグール
3 影小道の住人
3 血の芸術家
4 血の座の吸血鬼
4 ゲラルフの伝書使
4 吸血鬼の夜鷲
4 血統の守り手
<呪文 7>
3 悲劇的な過ち
1 究極の価格
3 夜の犠牲
<土地 23>
23 沼
<サイドボード 15>
4 脳食願望
3 死体焼却
4 ひどい荒廃
1 本質の収穫
1 死せざる邪悪
2 吸血鬼の夜侯
ロードが結局血統の守り手しかメインには入らなかった。単体でのカードパワーは明らかに吸血鬼の夜候より上で、もともとクリーチャーデッキ同士のぶつかりあいで強いことに加えて、このデッキなら変身条件を満たすこともそう難しくはない。
ぶっちゃけ、「血統の守り手を使ってやりたいから組んだデッキだろ?」と言われてもそれを否定する材料は乏しい。
一応、血の座の吸血鬼4積みで生け贄エンジンを確保し、血の芸術家や悲劇的な過ちを有効活用。影小道の住人で血の座の吸血鬼に威嚇を得させて、一気に強化して殴り倒すことも可能になっている。
1ターン目実験体、2ターン目炎樹族の使者×2から円環の賢者で実験体が2点パンチ、3ターン目火打ち蹄の猪速攻付与&怨恨で12点パンチとか狂気じみてる。
で、はたしてどのようなデッキならこの攻勢を捌ききれるのか?ということを考えてみた。速攻持ちがそこそこいるのでインスタント除去が弱い今の環境では除去だけに頼るのは苦しく、除去1枚では捌きづらい不死持ちの存在もあって壁役が欲しいところ。逆に、ゴーア族の暴行者の湧血で押し込まれるので、インスタント除去もやはり必要。また、横に並べてくるので全体除去が欲しいが、それで自分が並べるクリーチャーを失う構成だとアド損が辛くなってくる。
そのあたりでいろいろ候補を絞っていった結果、壁役としては凍結燃焼の奇魔がかなり有望だと思われた。
2マナ1/4という優れた防御性能を備えつつ、タフネスを減らした分パワーを上げる能力を持つので戦闘で2/2を仕留めたり3/3や4/4と相打ちを取ることもできる。もちろん、守る必要のないときは攻め手に回ることも可能。
このクリーチャーを採用する場合赤and/or青が絡むデッキになるので、すなおに赤の火力を除去として採用することにした。
そうしてできたのが以下のデッキ。
「WMDイゼット ver1.0」
<クリーチャー 12>
4 凍結燃焼の奇魔
3 荘園のガーゴイル
2 雷口のヘルカイト
2 超音速のドラゴン
1 竜英傑、ニヴ=ミゼット
<呪文 24>
4 火柱
3 送還
4 灼熱の槍
4 ミジウムの迫撃砲
3 轟く激震
2 ニンの杖
2 イゼットの魔鍵
2 終わりなき休息の器
<土地 24>
4 蒸気孔
4 硫黄の滝
10 山
5 島
1 ヘリオンのるつぼ
<サイドボード 15>
1 轟く激震
1 送還
4 イゼットの静電術師
3 小悪魔の遊び
2 否認
2 墓掘りの檻
2 魔女封じの宝珠
メインにカウンターをまったく積んでいない、ボードコントロールに特化した赤青デッキ。
3マナから5マナのジャンプアップを意図してマナアーティファクトを4枚採用。拘留の宝球で一網打尽にされたりしないように2枚づつに散らし、魔鍵はエスパーコントロールのようなヘビーコントロール対策、器は流行のリアニ対策を兼ねる。
3ターン目のマナ加速で無防備にならないように1マナ除去を7枚取ってある。
火柱は不死クリーチャーや墓所這い対策になる軽除去の定番。送還は一時的とはいえ1マナで相手のプランを崩せる貴重なインスタント除去。怨恨や湧血に対応して使えばアドバンテージを失うこともなくテンポを稼げる。
灼熱の槍はこれまた貴重なインスタント除去。ミジウムの迫撃砲は緑白絡みのデッキが2ターン目に出してくるロクソドンの強打者を仕留められるうえ、6マナまで伸びれば相手だけに効果が及ぶ全体除去として撃てる。
そして轟く激震は現環境では貴重な3マナの全体除去。フラッシュバックもときどき役立つ。
クリーチャーは前述の凍結燃焼の奇魔に、これまた鉄壁のブロッカーであり攻め手もこなせる荘園のガーゴイル。
飛行速攻で突然ライフを詰めにかかれるドラゴン2種。超音速のドラゴンはまあ劣化雷口のヘルカイトなんだけど、セレズニアの魔除けに引っかからなかったりするし、ソーサリーをインスタントタイミングで撃てるようになるのは仮想敵に速攻持ちが多い現環境ではなかなか役に立つ。
で、このデッキのボスである「生きていれば勝手にゲームに勝てる」天才悪魔竜ニヴ=ミゼット。
あとは、マナソース28枚のデッキなので伸びたマナをアドバンテージにつなげるためのニンの杖2枚。魔鍵もそうだけど、マナソースの一部にクリーチャーを兼ねさせるためにヘリオンのるつぼを1枚だけ挿した。アンタップで展開を疎外しないとはいえ、あまり多いと凍結燃焼の奇魔の運用に支障をきたすおそれがある。
メインはそんな感じ。
サイドは、追加の轟く激震は説明不要だろう。追加の送還は巨大化系の呪文や怨恨を使うデッキに。イゼットの静電術師はサリアや1/1トークンを潰すのに適任。小悪魔の遊びはライブラリ破壊デッキに対して入れたり、ボードコントロールに秀でたデッキ相手に追加の勝ち手段として入れたり、プレインズウォーカーの破壊用に入れたり、あるいは単に轟く激震が不要な場合に入れ替えたりする。否認と墓堀りの檻も特に説明は不要だろう。魔女封じの宝珠はラクドスの復活をはじめとした手札干渉系への対策であり、ネファリアの溺墓への対策でもある。
ボロスの反攻者が苦手だとか、タフネス5以上のクリーチャーを処理しづらいとか問題はいろいろあるが、ウィニーのアンチデッキとしてはおおむね期待通りの性能を発揮している。
次は色を増やすことなども検討してみようか。
とりあえず必須パーツは以下の4スロット。
4 栄光の目覚めの天使
4 悪鬼の狩人
4 掘葬の儀式
4 カルテルの貴種
ここは動かない。とすると、調整の余地があるのは残りの5スロット。
ネット上でレシピを調べてみると、緑赤黒白の4色が一番メジャーな組み方であるように見えた。
4 高原の狩りの達人
4 根囲い
4 忌まわしい回収
4 遥か見 or 大聖堂の聖別者
4 信仰無き物あさり
1 士気溢れる徴集兵
23 土地
遥か見使ってるほうがマナトラブル色トラブルが少なめだが、高速ビートに攻め立てられてるときには無限コンボが成立しなくてもとりあえず一回天使釣っとく、というムーブになることがままあり、その場合ゲインライフ+チャンプブロック+再度ゲインライフで大きく時間を稼いでくれる大聖堂の聖別者がいい仕事をする。ただ、その場合は緑マナ源も赤マナ源も11枚程度になりがちで色マナトラブルが怖い。
どっちにせよ4色で組むとショックランドをはじめとした多色土地の手持ちを大量消費して他のデッキを持てなくなるので、色を減らす方向性で考えることにした。必須パーツは2色だから、3色ぐらいで収めたい。
で、白黒赤バージョンのプラン。
4 信仰無き物あさり
4 大聖堂の聖別者
4 宿命の旅人
4 地底街の密告人
3 士気溢れる徴集兵
1 血統の切断
24 土地
イニストラードの二色土地とM10ランドとショックランド三種フル投入で、各色16枚づつのマナ源を確保。これで、色マナの不安はかなり解消された。
サクり台兼墓地肥やし役として地底街の密告人を採用。サクり台が増えたことで悪鬼の狩人効果スタックサクりの永久追放とかはやりやすくなり、墓地肥やしの効果自体も当たり外れはあるものの有効に働く。2/3とそこそこのサイズなのでブロッカーとしても役立つ。こいつで墓地肥やしを行う関係で軽いクリーチャーが欲しいため、大聖堂の聖別者に加えて宿命の旅人も採用。2回死ねるのでチャンプブロッカーとしても生け贄コストとしても優秀で、無限コンボ成立時にはスピリットトークンの生成元としても働く。で、スロットにやや余裕がある関係で士気溢れる徴集兵を多めに取った。無限コンボ成立時に徴集兵+宿命の旅人がいれば無限トークンに全て速攻をつけてその場で勝利できるし、徴集兵+地底街の密告人がいれば自分の土地を1個アンタップしてそのマナで能力を起動することにより相手のライブラリを削りきれる。そうでなくても、
1T物あさり、天使と徴集兵ディスカード
2Tカルテルの貴種
3T物あさりフラッシュバック、徴集兵と掘葬ディスカード
4T掘葬フラッシュバック、相手の唯一のクリーチャー(防衛持ち)を奪って生け贄に捧げ、天使に速攻をつけてフルアタック、12点ダメージ
という展開も実際にあったので、個人的には徴集兵は多めに取るほうが好み。無限コンボが成立しなくても急に殺されるパターンがあると思えば相手も慎重に動くようになるかもしれないし。
とりあえずこの白赤黒バージョンにはそれなりに満足したので、白青黒バージョンも考えてみた。
4 慢性的な水害
4 大聖堂の聖別者
4 宿命の旅人
4 地底街の密告人
3 セルホフの密教信者
1 至高の評決
24 土地
こちらは慢性的な水害で継続的に墓地を肥やすことができ、サイドで至高の評決の増量ができるのでビートダウン相手の勝率を高められそうだが、無限コンボを決める以外での勝ち筋はほぼないし、物あさりが無いから手札に引いてきてしまったパーツは扱いづらくなるしデッキの回転も赤入りバージョンに比べて悪い。赤入りより青入りのほうが動きが硬くて戦術バリエーションに乏しいというのは奇妙な感じだが、どうにも手になじまなかった。
というわけで三色バージョンは白赤黒でいくことに決定!
あとサイドボードプランとして、リアニ対策されても勝てるように銀の象嵌の短刀や軍勢の集結を入れてある。どちらもエスパーコンみたいな全体除去を備えたコントロール相手には効き目がありそうで、後者はエンドレスに生け贄材料を供給してくれるので地底街の密告人によるライブラリアウトも視野に入れられる。
まあ、青白が絡んだコントロール系相手は殺戮遊戯でスフィンクスの啓示指定が鉄板なのかもしれないが…
あとは、高速ビートダウン対策としての除去の増量などだろうか。火柱、悲劇的な過ち、戦慄掘りあたりが候補になる?
インスタントはもともと適切なタイミングを選んで使えることから相手の思惑を崩したり実質2対1交換を作り出したりしやすいのだが、インスタント除去はそのなかでも特に使い勝手がよく、クリーチャー戦主体の現環境にマッチしている。
というわけで、インスタント除去の良さを満喫すべく組み上げたのが以下のデッキ。
「8デーモン」
<クリーチャー 16>
4 瞬唱の魔道士
4 吸血鬼の夜鷲
4 冒涜の悪魔
4 血の贈与の悪魔
<呪文 20>
2 悲劇的な過ち
2 死体焼却
2 強迫
1 死せざる邪悪
2 究極の価格
4 夜の犠牲
1 本質の収穫
2 心理的打撃
2 血統の切断
2 ルーン唱えの長槍
<土地 24>
12 沼
4 湿った墓
4 水没した地下墓地
4 島
<サイドボード 15>
2 強迫
1 究極の価格
2 悲劇的な過ち
2 死体焼却
1 血統の切断
1 本質の収穫
2 否認
2 死の支配の呪い
2 真髄の針
悪魔8体投入が特徴的なので名前は8デーモンだが、デッキのお楽しみポイントは瞬唱の魔道士によるフラッシュバック込みでインスタント除去を思う存分使い倒すこと。
瞬唱の魔道士のいいところ、というか他のカードではできない利点として、ある機能を持つインスタントやソーサリーの枚数をそれほど多く入れなくても瞬唱で使いまわすことで使用回数を多くできるところにある。そして、サイド後にはサイドインしたカードをさらに水増しできる点も軽視できない。
たとえば、このデッキがメインから入れている死体焼却は、墓地利用しないデッキには単なる1マナキャントリップにすぎないが、相手がリアニメートだったりしたらそれこそ何度でも使いたい。瞬唱の魔道士の存在により、メインから最大4回、サイドボード後は最大8回使えるようになる。これは除去、手札破壊、カウンター等、相手のデッキによって効き具合が異なるあらゆる呪文について言える。効果的な局面が限定されるのであまり多く入れたくはないが、はまれば相手の思惑を大きく崩せるようなカードを1枚挿しするのも、瞬唱の魔道士がいればより効果的に働く。
1枚づつ入っている死せざる邪悪、本質の収穫がそれにあたる。後者はアタックによらず対戦相手のライフを削ったり、血の贈与の悪魔によるライスロスを補填したり、ダメージレースを有利にしたりするぐらいでまあ普通だが、前者はわずか1マナで除去を無効化しつつサイズアップできたりするので意外性が強く、瞬唱の魔道士と絡めると非常にインチキくさい動きができたりして素晴らしい。
敵のアタックに対して瞬唱の魔道士を出し、墓地の死せざる邪悪をフラッシュバックしてからブロック、不死で3/2になって戻ってきて悲劇的な過ちをフラッシュバック…なんてのは、わずか4マナでできる動きとは信じがたいトリッキーさ。楽しすぎる。