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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
コストを参照するX呪文、特に、対戦相手の単一のオブジェクトの点数で見たマナコストを参照するX呪文を構築レベルのカードパワーを持つようにデザインするのは難しい。
理由は、不自然な記述を使わない限りテンポ的に必ず損をするデザインにならざるをえないから。

実例をあげよう。
ラヴニカ:ギルドの都の黒のコモンに《腹わた抜き》という呪文がある。
>(X)(黒) インスタント 点数で見たマナ・コストがXのクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
この呪文で対戦相手のクリーチャーを破壊する場合、トークンやクリーチャー化した土地といった例外を除けば、相手がそのクリーチャーを出すために使ったマナより1点ぶん多くのマナを支払わなければならない。したがって、この呪文を使うと1点ぶんテンポを失う。
リミテッドならともかく、構築でこのカードを使う理由は乏しい。構築ではリミテッドとは違って戦術的なオプションは自由に選べるし、テンポの得失が問題になる度合いも大きい。

それでも、成功例がないわけではない。

>Repeal / 撤廃 (X)(青) インスタント

>点数で見たマナ・コストがXである、土地ではないパーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
>カードを1枚引く。

このカードは、カウンターのためにマナを残しておきがちな青の戦術とマッチしていた。マナソースを並べるまでの時間稼ぎとしてもそこそこ優秀である。一時的なものとはいえ、土地以外のあらゆるパーマネントに対処できる汎用性の高さも評価できる。

ここで一点注意を要するのは、「カードを1枚引く」というのはお手軽にカードパワーを上げられる方法ではあるが、乱用すべきではないということ。
たとえば先の腹わた抜きに「カードを1枚引く」という効果をつければ一気にカードパワーを引き上げることができる。が、それが獲得するカードパワーの性質は全く黒らしくない。
個人的には、「カードを1枚引く」を使ったカードパワーの調整が許されるのは以下のいずれかに該当する場合だけだと考える。
・青いカード
・カード1枚を費やすだけの価値がないささやかな効果
・ごく限られた状況でしか役に立たない狭い効果

本題とは外れるが、もう少し考えてみる。
単にカードを引くのは黒らしくないが、ライフを支払ってカードを引くのは黒らしい。
では、腹わた抜きにXライフを失ってX枚のカードを引く効果をつけてはどうか。これなら、クリーチャーを強制的に何らかの邪悪な儀式の贄として供するような雰囲気となり、十分に黒らしい。
しかし逆にカードパワーが上がりすぎたため、黒黒黒Xのソーサリーぐらいにしないとバランスが取れないだろう。

本題に戻る。デッキスロットは有限であるため、カードの汎用性は構築において得に重要となる。汎用性の高さがあれば、テンポを失うデメリットを補うことができる。
たとえばこんなデザインはどうか?

>浄化の光(仮) (X)(白) ソーサリー

>点数で見たマナ・コストがXである、土地ではないパーマネント1つを対象とし、それを追放する。

テンポを常に失うかわりに、戻ってくることがない忘却の輪、といった趣になった。
忘却の輪の持つ「エンチャントにさわれない色に対して強く、エンチャントにさわれる色に対してやや弱い」という性質が白のそれにマッチしているので、このデザインにはややひっかかりを覚える。が、強すぎもせず構築レベルのカードパワーではあるだろう。そのうちこのデザインがカード化される時がくるかもしれない。

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