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電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
読了。
黄昏に沈み行く日本の世相の空気を反映した設定。陰々鬱々としていて一片の救いもない。著者のあとがきに「ホラーの不幸はあくまで物語であり、コントロールできる不幸。読者はそれが物語の中だけの不幸であることに安堵し、現実の自分にそれが及んでこないことで心の平穏を得て癒される」みたいなことが書いてあったが、世相の空気の暗い部分や澱んだ部分を掬い取って設定に反映させた話から受けた陰鬱なイメージは読了後も癒されないと思うのだがどうか。
世相の空気を反映しつつ、ホラーで、読後の癒しも狙うのなら、格差社会の勝ち組が恐ろしい目にあって破滅する話にでもすれば、世の中の多数派読者のルサンチマンも充足されて理想的なのでは?と思ったりした。

話の内容そのものについては触れないが、関係のある事柄についてつらつらと。
★「いじめの傍観者は加害者と同罪、場合によっては加害者より悪い」という主張がときどきあるが、FKに言わせれば論外。被害者に手を差し伸べることで自分も被害者になる場合があるのに、第三者にそれを強要しようというのか?そう主張する人間は常にそれができるのか?また、自分の子供が第三者である場合でもそう言えるか?ありえない話だ。最も悪いのはいじめの加害者、それは自明。
あえて他に悪さの順列を決めるなら、次は教師ということに一応なるだろう。しかし、モンスターペアレントに脅かされ、お客様気分の生徒達に舐められきった立場の弱さでは教師側に何かを期待するのも酷か、とすら思える。
そのつぎは被害者の親だ。被害者に相談されないならその程度の信頼関係でしかないことが問題だし、学校という、未成熟な人格がぶつかりあう場での危険から心身を守る術を子供に教えていない、というのはまったくもって甘いとしか言いようがない。
そして最後は被害者本人だ。「被害者にもいじめを受ける原因がある」なんて陳腐なことを言うつもりはない。被害者側に非のない理不尽ないじめもある。そうではなくて、結局は被害者自身の安全保障の問題だということだ。守りの備えをきちんとしていなかったから侵略を受けました。そりゃあ一番悪いのは侵略者側だろう。しかし、安全保障の意識に欠けた被侵略側に反省すべき点がないといえるか?甘えるな!学校は戦場だ!

★上とも関連するが、とにかく甘ったれた人生観の人間が多くて辟易する。「世界は無慈悲で無意味で無秩序な混沌の状態こそがデフォルトであり、平穏・平和・秩序といった状態はその荒れ狂う波の中に一瞬形作られた泡のようなものにすぎない。」そして、人間たちはその泡を努力して維持している、というわけだ。
それを、泡のほうがデフォルトと誤解してる人間が多くて多くて…。

★「最終喜械は最高の文化的装置」まだバブルの残照が色濃く残る16年前にこう書いてのけた木城ゆきとは大したもんだぜ…
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