電源不要系同人サークル「Paper Entertainment Factory」のアナウンスと、適当な駄文。
デッキ構築型の同人カードゲーム。カードもマニュアルもしっかりした印刷なので商用と比べて遜色は無い。
ドミニオンとの違いは「王位継承権者を擁立しない限りVPを持つカードが出せず、出さない限りVPは計上されない」「ドミニオンでは最初にサプライに買えるカードが全て存在し、売り切れない限りは購入が可能だが、ハートオブクラウンでは行動カード10種各5枚+特殊カード2種2枚αを山にして合計8種が常に存在するように上からめくっていってサプライにするため、金さえあれば買いたいものが買えるわけではない」「バイに制限がない」「アクションも金も次々につなげていく形でプレイする」等。
まず言えるのは、「ドミニオンよりも優れたフレーバーを持っている」ということ。ドミニオンは正直言ってかなりアブストラクトに近いプレイ感で、領地を発展させて名誉や栄華を手に入れる、というようなことをやってる感じはしない。ハートオブクラウンでは王位継承権者を擁立して王位につけさせる、そのために支持者を集める、という内容が実際のプレイの印象と近しいので、フレーバー性は良好と評価できる。
次に、擁立&直轄地というルールがデッキ構築型ゲームとして興味深いひねりとして機能しているということ。早めに擁立すると、デッキが弱くなるか初期VPが低くなりがちというジレンマがある。戴冠宣言に必要なだけのVPを予め確保してから擁立すればデッキが弱くなる心配も無く、山があと一巡する間に必ず戴冠宣言に至れる、といいことづくめに見えるが、お目当ての候補を先に擁立されてしまうとプランが瓦解しかねない。この擁立をめぐる駆け引きは単純なものではない。
第三に、サプライのありかたについて。これは第一義的にはコンポーネントの枚数を減らすための工夫であろうが、「直前で強いカードが運良くめくれて買えた者が勝つ、ただの運ゲー」とは必ずしもいえない。というのは、明白に強いカードが存在するなら、誰か一人がそれを買ったあとには他のプレイヤーはそいつに2枚目を買わせないようにサプライをコントロールする余地があるからだ。
具体的に述べよう。例えば「錬金術師」がその明白に強いカードだとする。ABCDの四人がこの順番でプレイしており、Aが直前でめくれた、このゲームを通じて初登場の「錬金術師」を買ったところだとする。そうすると、Dはサプライに1枚しかない種類のカードを買わないようにすることで新しいカードの出現を防ぎ、Aが2枚目の「錬金術師」を買う機会を奪うことができる。CはDの出力できる金の量を予想して、高確率で5金が出せそうなら新しいカードがめくられるようにしてもいいだろう。BにとってはCとDのどちらかから5金が出れば山札の上から「錬金術師」がめくられてもAに独占されずにすむので、Cよりも条件が緩くなる。そうこうしているうちにA以外の誰かが2枚目の「錬金術師」を買い、警戒すべき相手が分散する。警戒が薄くなったプレイヤーが有利になる流れとなり、その繰り返しでなるべく均等になるように行きわたることになるだろう。
ドミニオンでは売り切れるまでは常に存在するため、誰かに特定のカードを買わせないようにすることがほぼ不可能であるのに比べると、突出したプレイヤーを他のプレイヤー達が協力してマークできるというのは、プレイヤー任せのバランス調整機能とはいえ、悪い話ではないと思える。
まあ、最初のうちは行動カードの使い勝手を確認するためにサプライにあるカードを手当たり次第に購入しがちなので、その結果特定のプレイヤーに強いカードが集中することもあるだろう。だが、このゲームに習熟したプレイヤー同士なら、サプライから新しいカードを出させないように全員で牽制しあい、ほとんどサプライがめくられないままゲームが終了するというのもまた充分にありそうである。
まとめると、「これはこれで駆け引きの余地があるんじゃない?」ということでよしとする。
4つ目…というか2と3の内容とも絡むが、「本当の意味でバランスを取るには、参加プレイヤー全てがシステムの深い理解に裏付けられた優れたバランス感覚を備えていなければならない」…そういうカードが含まれる…ゲームである。しばしばいわれるキングメーカー問題に通じる罠が、実は随所に口を開けている。
なので、本格的にやろうと思うとかなり重くてじりじりしたゲームになる可能性が高い(サプライの構成にもよるが)。そうしないなら、ある意味フレーバーゲームとして割り切るべきかもしれない。
ドミニオンとの違いは「王位継承権者を擁立しない限りVPを持つカードが出せず、出さない限りVPは計上されない」「ドミニオンでは最初にサプライに買えるカードが全て存在し、売り切れない限りは購入が可能だが、ハートオブクラウンでは行動カード10種各5枚+特殊カード2種2枚αを山にして合計8種が常に存在するように上からめくっていってサプライにするため、金さえあれば買いたいものが買えるわけではない」「バイに制限がない」「アクションも金も次々につなげていく形でプレイする」等。
まず言えるのは、「ドミニオンよりも優れたフレーバーを持っている」ということ。ドミニオンは正直言ってかなりアブストラクトに近いプレイ感で、領地を発展させて名誉や栄華を手に入れる、というようなことをやってる感じはしない。ハートオブクラウンでは王位継承権者を擁立して王位につけさせる、そのために支持者を集める、という内容が実際のプレイの印象と近しいので、フレーバー性は良好と評価できる。
次に、擁立&直轄地というルールがデッキ構築型ゲームとして興味深いひねりとして機能しているということ。早めに擁立すると、デッキが弱くなるか初期VPが低くなりがちというジレンマがある。戴冠宣言に必要なだけのVPを予め確保してから擁立すればデッキが弱くなる心配も無く、山があと一巡する間に必ず戴冠宣言に至れる、といいことづくめに見えるが、お目当ての候補を先に擁立されてしまうとプランが瓦解しかねない。この擁立をめぐる駆け引きは単純なものではない。
第三に、サプライのありかたについて。これは第一義的にはコンポーネントの枚数を減らすための工夫であろうが、「直前で強いカードが運良くめくれて買えた者が勝つ、ただの運ゲー」とは必ずしもいえない。というのは、明白に強いカードが存在するなら、誰か一人がそれを買ったあとには他のプレイヤーはそいつに2枚目を買わせないようにサプライをコントロールする余地があるからだ。
具体的に述べよう。例えば「錬金術師」がその明白に強いカードだとする。ABCDの四人がこの順番でプレイしており、Aが直前でめくれた、このゲームを通じて初登場の「錬金術師」を買ったところだとする。そうすると、Dはサプライに1枚しかない種類のカードを買わないようにすることで新しいカードの出現を防ぎ、Aが2枚目の「錬金術師」を買う機会を奪うことができる。CはDの出力できる金の量を予想して、高確率で5金が出せそうなら新しいカードがめくられるようにしてもいいだろう。BにとってはCとDのどちらかから5金が出れば山札の上から「錬金術師」がめくられてもAに独占されずにすむので、Cよりも条件が緩くなる。そうこうしているうちにA以外の誰かが2枚目の「錬金術師」を買い、警戒すべき相手が分散する。警戒が薄くなったプレイヤーが有利になる流れとなり、その繰り返しでなるべく均等になるように行きわたることになるだろう。
ドミニオンでは売り切れるまでは常に存在するため、誰かに特定のカードを買わせないようにすることがほぼ不可能であるのに比べると、突出したプレイヤーを他のプレイヤー達が協力してマークできるというのは、プレイヤー任せのバランス調整機能とはいえ、悪い話ではないと思える。
まあ、最初のうちは行動カードの使い勝手を確認するためにサプライにあるカードを手当たり次第に購入しがちなので、その結果特定のプレイヤーに強いカードが集中することもあるだろう。だが、このゲームに習熟したプレイヤー同士なら、サプライから新しいカードを出させないように全員で牽制しあい、ほとんどサプライがめくられないままゲームが終了するというのもまた充分にありそうである。
まとめると、「これはこれで駆け引きの余地があるんじゃない?」ということでよしとする。
4つ目…というか2と3の内容とも絡むが、「本当の意味でバランスを取るには、参加プレイヤー全てがシステムの深い理解に裏付けられた優れたバランス感覚を備えていなければならない」…そういうカードが含まれる…ゲームである。しばしばいわれるキングメーカー問題に通じる罠が、実は随所に口を開けている。
なので、本格的にやろうと思うとかなり重くてじりじりしたゲームになる可能性が高い(サプライの構成にもよるが)。そうしないなら、ある意味フレーバーゲームとして割り切るべきかもしれない。
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